世界の終わり。

チバユウスケの音楽に出会わなかったら、今の僕はいないと思う

チバに出会うまで僕の音楽は歌詞を重視したロマンチックな世界だった

ミスチル、スピッツ、バンプオブチキンなどなど

初めてミッシェルガンエレファントを聴いた第一印象は

「なんだ この音楽は?」だった。

その時代はMTVなどの時代でケーブルテレビや北海道のFMノースウエイブが僕の音楽の情報源だった。

ミッシェルの初期の曲に「GWD」という曲がある

このGWDって何の意味だろう?と思って曲を聴いていると

「がなる~ われる~ だれる~」と叫んでいる

また今まで

「サンタクロースが死んだ夜に~」(シャロンbyROSSO)という歌詞は聴いたこともないし

今後も聞くこともないだろう

その頃の僕はヘッドホンチルドレンで

何度も何度も彼らのCDをリピートしていた

昔はサブスクなんてなくて

CDを3000円出して買い、ブックレットを見ながら

何度も何度もリピートする

そのCDだけを何度も何度も聞く

アルバムのコンセプトや曲順や何度も何度も味わうように聞く

昔はそんなお金もないし

1枚のCDを何度も何度も

次の曲が何か勝手にわかるくらい聞いた

冬の夜、僕はたぶん20歳頃で

何になればいいかわからず、これからもどうすればいいかわからず

どう社会とか関わればいいかもわからず ちっぽけすぎる自分の存在に潰れそうだった

愛もわからず、愛も手に入らず、虚無と薬と自意識と、まあそんな日々で。

そんな青年期モラトリアムの中でチバの音楽は爆音で心に突き刺さった

今でも心に残っているのはROSSOの「シャロン」という曲である

この曲を超える歌詞と曲は僕の中では今後出てこないと思う

イントロのギターが突っ走る中で

チバの第一声が「サンタクロースが死んだ夜に~」である

初めてその歌詞を聴いた時には度肝を抜かれた

かつてそんな歌詞を聴いたことがなかったから

だけど、僕は何度も何度もリピートした

僕の頭の中でイメージが加速し、冬の夜空に星が舞って、

高速で雪道のカーブを曲がるところでシャロンが叫んでいた

僕の中でそれから良い音楽とは頭に映像が浮かぶ音楽となった。

例えば「世界の終わり」という曲から僕は

荒涼とした世界の果てで座って紅茶を飲んでいると

うさぎが懐中時計を見ながら僕に話しかける

「そろそろだね」と僕は黙って頷いて、空を見上げる

そして世界は終わりを迎えた

そんな感じで僕の頭に映像が浮かんでいく。

チバの音楽に関する話はキリがないし書ききれない

ヒーローがいなくなった世界で僕はずっとチバの音楽を聞いている

今年の12月はそんな冬になりそうだ

そんな日は「なぜか今日は」を聞きたくなる

ありがとう、バイバイ。