ノマドランドを観た (ネタばれあり)

まあ ネタばれというかロードムービーなのでネタも何もというところもありますが、いやほんとロードムービー。んで淡々と進む。生も死も命も高齢者問題も喪失感も病気も年金問題も美しい景色と共に淡々と進む。

そしてロードムービー足らしめているのは、2人の主要人物以外はすべて本当のノマド生活をしている人が演技をしている点である。それがリアリティを生んでいる。

主人公はノマドの生活を選んでいるが、その過程で何度か定住の提案を受けている。プロポーズ、妹からの提案、でもそのたびに彼女はノマドの生活を自ら選んでいる。まるで安住を拒否しているかのように。そこには彼女の強い意思が感じられる。「私はこうやって生きたい」という強い意志。

これがアメリカで本当にそうやって生活している高齢者がいるという事実に驚かせられた。

「年金が6万程度で車で生活するようになった」

「今を楽しまなければどうするの?病院で死ぬのを待つのは嫌だわ」

と自ら車での生活を選んでいる。それも何か収入があるわけでもなく、移動しながら、各地で季節労働をしている。その先がamazonなどのIT企業なのは皮肉である。それが高齢者なのである。決してポジティブな理由ばかりではないが、そこには逞しさもあり、覚悟もある。

それがリーマンショック後というのも、キャンパー生活を動画を参考にしたというのも現代なんだなあと思った。

今はいろんな生き方が提示されている。早期リタイアのfireやネットで生活する人とかね。じゃあそういう生き方がいいからと言って明日から僕らができるわけではない。

でも、僕らだってノマドなのだ。それぞれの生活をし、社会と家庭の顔を持ち、漂流している。

僕らだって、人生を漂流し、出会い、別れ、どこかでまた出会う。 

そうこの世界はノマドランドなのだ。