僕は処方薬依存症だった。

僕は処方薬依存症だった。だったというのは今は最低限の薬で済んでいるし、おそらくやめることができるから。

そもそも僕が精神科の薬を飲むようになったのは僕が20歳の時に遡る。26年前である。僕はその頃、北海道小樽市で大学生をしていた。夜間の大学だったので、日中は喫茶店でバイトをしていた。

ただ、僕はそれまで働いたこともなかったし、一人暮らしも初めてだったので、何もかもうまく行かなかったし、バイトは朝早かった。そのうち、起きれなくなって遅刻するようになった。起きれないから、一晩中起きているようになった。バイトは昼で終わったので、それから寝て、夜中に起きるので大学に行かなくなった。夜中に起きては、朝まで起きるというのを繰り返していたら、精神に異常をきたした。

まず、眠れない。食欲は落ち、あらゆることで泣くようになった。「これはおかしい」と自分でも思った。本屋で立ち読みした中で「自律神経失調症」「うつ病」にあてはまった。

僕は限界が来た時に近くのクリニックを見つけ駆け込み、そのまま泣きながら訴え、でもバイト先に迷惑がかかってしまう、どうしたらいいかわからない。というようなことを医者に話していた。

「帰って不安なら、また来なさい。入院の手続き取るから」と言われ、僕は一人暮らしの部屋に戻った。部屋に戻ってもバイトは休みたいけど迷惑がかかると考えこみ、でも限界で夕方にクリニックに行った。

「先生、もう無理です。死にたいです。」完全に鬱だった。そして、その足で僕は札幌の病院に入院となった。入院は3か月になり、その後もしばしば入院した。その頃から薬は服薬していた。

アモキサン、ルジオミール、ソラナックス、リタリン、ハルシオンなどアッパー系の薬が処方された。当時、精神保健法32条という法律があってその申請が通ると外来にかかる費用は無料だった。自治体によって違っていたが、今の自立支援法である。だから、医者もどんどん薬を出した。

確かに必要な時期もあったかもしれないが、もうすでに薬を入れた状態でなければ、生活できないくらいにはなっていた。今思えば副作用もたくさんあった。希死念慮もしょっちゅうだったし、自殺企図も何度もした。

大学を留年しながら卒業してからも、「人が怖いから」とか「うまく話せない」とかで薬は服用していた。もうその頃になると慣れたもんで、「今まで、アモキサン25mを4Cとソラナックス20mを飲んでいたので、同じのくれますか?」と診察を受けていた。医者も「自分の薬をわかっているんですね」みたいな感じでトラブルもなく減薬されることもなく服薬を続けてきた。

ただ、調子のよい時に減薬を試みると必ず禁断症状が出た。ほんと異常なくらいに不安になり、パニックになった。そして、服薬を再開すると治った。だからますます処方薬がなければ生活できなくなった。

去年から少しずつ減薬を医者と相談しながらトライしてきた。そしてやっと最低限の量まで減らすことに成功した。ストレスの少なかったこともいいタイミングだった。

結果、どうだったか?

非常に楽である。不安になることもなく、パニックもない。もちろん体調によることも大きいと思う。でも、こんなにも楽だなんて知らなかった。仕事をしても頭がクリアなのだ。抗不安薬を飲んでいた時は眠たくてしょうがなかった。副作用というものは恐ろしいなと感じている。

もちろん、精神状態が不安定な時は服薬は大事だし、それで楽になることもある。治療が必要な症状もある。ただ、それを抜け出せることもあるのだという話でした。

今日も賭けない一日をありがとうございました!