回復は螺旋階段のように。

今年2度目の90日を無事迎えた。前回のスリップの光景を鮮明に覚えている。今回はカウントを意識しないで、今日一日をただ、淡々と過ごした。今年はたぶん4回くらいはスリップしていると思う。

さて、あなたは90日という期間をどう思うだろうか?もちろん、そのとらえ方は人それぞれなんだけど、僕にとっては「やっとかすかに回復の糸口が見えた」ということに過ぎない。

正直に言って、本気でギャンブルをやめたいと思ってから10年は経っている。10年だ。考えてみてほしい。10年だ。10年の間、スリップを繰り返し、絶望し、自己嫌悪し、諦めたりしてきた。10年だ。

10年経って、やっと自助グループとプログラムにつながった。それが長いかどうかは知らないが、今このタイミングでしか、繋がれなかったと思うから、人それぞれの回復のタイミングがあるとしか言えない。

たぶん、結婚しなければ、離婚しなければ、借金をしなければ、家庭を失わなければ、僕は気づけなかったと思うし、本当に気づくということは痛みを伴うものなのかもしれない。家庭を失い、子供のいない日々に絶望し、スリップをして、明日は100円で何を買えばいいかという生活をしなければ真剣にならないのかもしれない。人間はおろかである。

ただ、失わなけば、仲間も得られなかった。プログラムも知りはしなかった。仲間と会うこともなかった。

どれがいいと言うわけではないし、人それぞれのタイミングがあると思うし、諦めなければ、必ずそれは訪れると思うし。僕も入口に立ったばかりだと思っている。

18歳からギャンブルをして、27年、ギャンブルをやめようと思ってから10年。それを長いと思うかどうかは人それぞれだけど、少なくとも僕は「ギリギリ奇跡的に間に合ったかな」っていうところである。

あとはもう時間がない。つないだ手を放してはいけないと思っている。